出羽桜 枯山水の特別純米10年熟成古酒と3年熟成大古酒を飲み比べた
- 枯山水 十年熟成(特別純米)
- 三年熟成大古酒 枯山水(本醸造)
出羽桜の枯山水という2つの熟成古酒(限定品)を飲み比べてみました。
特別純米や本醸造の違いが気になる方は下記リンクも読んでみて下さい。
もくじ
概要
- 出羽桜 特別純米 枯山水 十年熟成古酒
メーカー公式ページ。
- 出羽桜 三年熟成大古酒 枯山水
メーカー公式ページ。
酒造メーカー | 商品名 | 原料米 | 日本酒度 | 酸度 | アルコール度数 | 産地 | 発売時期 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
出羽桜 | 枯山水 十年熟成古酒(特別純米酒) | 山形県産米 精米歩合 55% | +5 | +1.7 | 16度 | 山形県 | 通年 |
出羽桜 | 枯山水 三年熟成大古酒(本醸造酒) | 山形県産米 精米歩合 55% | +5 | +1.3 | 15.5度 | 山形県 | 10月~3月 |
出羽桜 特別純米 枯山水 10年熟成古酒(限定品)
120周年の記念品、限定品の特別仕様の純米仕込みです。
酒造メーカー | 商品名 | 原料米 | 日本酒度 | 酸度 | アルコール度数 | 産地 | 発売時期 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
出羽桜 | 枯山水 十年熟成古酒(特別純米酒) | 山形県産米 精米歩合 55% | +5 | +1.7 | 16度 | 山形県 | 通年 |
明らかに異端児
10年も熟成されているだけあって、「水出しのお茶かな?」って思うくらいに濃い琥珀色をしています。
味は濃厚・重厚で、鼻から抜ける香りは強くて、明らかに普通の日本酒とは異なります。異質、異端児です。
メーカーは中口としています。でも私としては辛口の直前の中辛口くらいに感じました。そんなにベタベタに甘くはないと感じます。
ただ、好き嫌いは分かれそうです。少し養命酒のような雰囲気があって、ウイスキーでいうとスコッチウイスキーのアイラモルトみたいな特殊な存在だと思います。
単純に「10年も熟成させてあるから美味いやろうなぁ」という気持ちで飲むと肩透かしを食らうかもしれません。
売り手の保管に難あり?
どのように流通しているのかは分からないのですが、味としては少し「痩せている、古びすぎている」という感じがあります。ほったらかしすぎてダメになった酒のそれを少し感じるんです。
それが、熟成ゆえの結果でそういう酒なのか、あるいは流通過程や販売店などの保管に問題があるのか、倉庫で熟成している個体と飲み比べてみない限り、私には分かりようがありません。
枯山水10年熟成の製造年月日
この銘柄は2013年に120周年を記念して10年古酒としてリリースされた限定品です。
私が購入したのは2018年の年末で、飲んだのは2019年です。「ということは2013年の時点10年熟成されていて、そこから6年経っているから実質16年古酒なのかな!?」と思ってラベルを調べてみました。
するとラベルの表側の左下に製造年月日として「17.6」と黒字で刻印されていました。
ということは2017年の6月ですよね。リリース自体は2013年で限定品ではありますが、製造は継続しているみたいですね。
ただしそれでも飲むまでに製造から1年は経っています。直前までメーカー側の手元に有ったならまだいいとして、販売業者が所持していい加減に管理していた場合、普通の日本酒よりもデリケートになっていて劣化が大きいと思うんですよね。
私が飲んだやつも「管理が完璧だったらもうちょっと潜在能力を引き出せるんじゃないかな?」という感じは正直ありました。何人かの知り合いにも常温で飲んでもらいましたが、「寝かせすぎちゃうか、意外と3年熟成のほうが美味しかったりして」との意見が出たくらいです。
(出羽桜 三年熟成大古酒 枯山水についてはまた近々、味見をしてレビューしたいと思います。)
↓
ということで後日、飲みましたので下のほうでレビューしています。
美味しい飲み方
ぬる燗にすると化ける
常温で飲むと養命酒感が強いですが、ぬる燗(40~45℃)にするとかなり違いが出ます。温度による味の差は普通の日本酒よりも大きいです。
通常の日本酒のように鼻から抜ける香りが明確に強くなり、味も甘みが増すだけではなく、養命酒臭が減ります。本当に「化ける」と言って差し支えないくらい美味しいと感じました。
サケ・マティーニにすると更に大化けして美味しい
もし、常温でもぬる燗でも苦手だったら、キンキンに冷やしてサケ・マティーニにして飲んでみてください。これが凄く美味しいんですよ。ぬる燗にするどころじゃない大化けをします。
個人的には、はっきり言って ぬる燗で飲むよりも好きです。
普通の日本酒はベルモットほど味や香りが強くないので、サケ・マティーニにしても大抵ジンに負けてしまうんですが、枯山水は違いました。
- 枯山水10年を使ったサケマティーニのレシピ
普通、マティーニはジンとドライ・ベルモットで作ります。サケ・マティーニ(日本酒マティーニ)はドライベルモットの代わりに日本酒を使うレシピで、ジンと日本酒を混ぜたカクテルです。
- ロックグラスに氷、ジン1、枯山水3~6を入れる
- 30~40回ほどしっかり混ぜる
- 完成
これだけです。簡単でしょう?
普通のマティーニはジン3~5、ドライベルモット1くらいのレシピなので中身はほとんどジンですが、この枯山水を使う場合はジン1に枯山水3~6くらいで作った方が美味しいと感じました。
ただし、どんなジンでも良いというわけではありません。
ニッカ カフェ・ジンを使ってください。このジンは日本らしいジンとして香味付に山椒が使われています。この山椒フレーバーが枯山水の風味にとても合うんです。
じゃあ日本らしかったらどれでもいいのかっていうとそうでもありません。玉露や、柚子、ヒノキ、山椒などを使っている京都蒸留所の「季の美」というジャパニーズ・クラフト・ジンでも試しましたが全然ダメで、むしろまずい。常温で飲んだほうがいい。それくらい極端に違うんです。組み合わせ方には繊細さが要求される銘柄です。
季の美もすごく美味しいジンで、普通のマティーニのレシピなら私はカフェジンよりも季の美の方が断然好きなんですよ。
でもこの酒マティーニには合いませんね。
出羽桜 三年熟成大古酒 枯山水(限定品)
1984年に発売された銘柄です。
酒造メーカー | 商品名 | 原料米 | 日本酒度 | 酸度 | アルコール度数 | 産地 | 発売時期 |
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出羽桜 | 枯山水 三年熟成大古酒(本醸造酒) | 山形県産米 精米歩合 55% | +5 | +1.3 | 15.5度 | 山形県 | 10月~3月 |
本醸造とは思えない美味しさ
私は飲んだあとで気づいたんですけど、この銘柄は本醸造酒です。
本醸造は醸造アルコールを添加してアルコール濃度を調整しているお酒のことで、大抵はそのアルコールの変なニオイが鼻につきます。
純米大吟醸こそ至高で、醸造酒は低級な酒だという認識の人は多いのではないでしょうか。ご多分に漏れず私もそのうちの1人です。
でもこれはそういう臭さを全くと言ってもいいくらい感じさせませんでした。大変よく出来たお酒だと思います。
特別純米や本醸造の違いが気になる方は下記リンクも読んでみて下さい。
熟成香は控えめで甘い
メーカーは中口としていて、まぁその通りだな、という印象を持つ程よい甘さを持っています。
熟成香は控えめで少しアクセントが利いている程度に留まっていて、テクスチャー(舌触り)もまろやかで、とても飲みやすい風味をしています。
どんな飲み方でも美味しい
メーカーはぬる燗~上燗(40~50℃)が一番美味しいと推奨しています。
これには同感で、冷酒でも美味しい味だと感じましたが、はやり少し温かい方が香りが立って美味しいと思います。
10年熟成と3年熟成の違い
3年熟成はバランスが取れた無難な味
10年熟成と3年熟成の大きな違いは、熟成香の強さと甘さにあります。
10年熟成は熟成香が強くて辛い、3年熟成は熟成香が弱くて甘めです。贈答用とするなら、断然、3年熟成のほうが無難な味なのでオススメです。
10年熟成は飲み手の技量が試される
10年熟成には10年熟成なりの美味しさがあります。
でも、ただ熱燗にしたり冷酒にしたり、温度を変えるだけの飲み方では限界があるように感じます。
上でも説明しましたが、値段や熟成年数相応の味を求めようと思うならば、例えば違うお酒を少し加えたり、あるいはこの酒にドンピシャに合う肴を見つけ出す必要があります。飲み手のそういう探究心が求められます。
色々飲んできた人が、面白さを求めたり更に上を目指すための銘柄と言ってもいいですね。
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