くさいワインを美味しくする方法!悪臭ブショネの軽減
同じ銘柄のワインにも「アタリ」と「ハズレ」があります。ハズレのワインはブショネと呼ばれていて、コルクからはカビ臭がして、ワインも美味しくありません。でもこの臭みを軽減させる方法があります。
- ブショネ
フランス語表記ではbouchonne。ワインコルクからのカビ臭、悪臭のこと。ワインボトルに見られるオフフレーバーの原因。出現頻度は1%~5%、3~5%、20本~30本に1本などと言われており、毎年多大な経済的損失を生み出している。1
ブショネの汚染起源
ブショネの原因は、ワインボトルに使用されているコルクから検出されるTCA(2,4,6-トリクロロアニソール)とされています。発生ルートは2つあるとされています。2
- パターン1
栽培中のコルクに防虫剤、防黴剤(ぼうかびざい)を使う。(TCPなどのハロフェノール類など)
収穫時まで残存する。
Sアデノシルメチオニンを生成する能力の強いカビが防虫剤をOメチル化し、ハロアニソールに変える。
- パターン2
収穫したコルクを塩素漂白する。
コルク中のフェノール系の木材防腐剤が塩素化され、ハロフェノールが生成される。
パターン1と同様、カビがハロフェノールをハロアニソールに変換する。
ただし無漂白コルクでも発生するので、原因の大部分はパターン1だとされています。TCAによってワイナリーが一度汚染されると、その回復は非常に困難だと言われています。3
しかし農林水産省によると、2013年に高圧水蒸気処理によってカビ臭原因物質を含まないコルクの生産に成功したという研究結果も見られます。4
ブショネの軽減方法
Los Angeles Timesで紹介されていたワイン臭みを取り除く方法です。
これはハロアニソールと食品用ラップフィルムのポリエチレンが結びつきやすいことを利用した方法で、まるでスポンジのようにポリエチレンフィルムが悪臭物質を吸い取ってくれるとのこと。3
ブショネで汚染されたワインをデカンタにいれる。
30 cm角ほどの食品用ラップフィルムをデカンタに入れる。
デカンタ内でラップフィルムを広げて、満遍なくワイン触れさせる。
5~10分放置してからフィルムを取り除き、少量の味見をする。
臭いが取れていなければラップフィルムを交換して、再度同じ工程を繰り返す。
取れていれば、別の容器でデカントしてから飲む。
ラップフィルムとワインを接触させることが目的なので、カラフよりも底面の広いデカンタの方が作業効率は良さそう。(ラップの出し入れはしにくいけど)
メーカーによってラップフィルムの素材が違う
食品用ラップフィルムの素材はメーカーや銘柄によって異なるので注意が必要です。LA timesの記事ではポリエチレンとだけ紹介されていましたが、他の素材でも有効なのかは不明なので、ポリエチレン製の製品を使うのが無難です。下記リンクで確認できます。
- 材料|食品用ラップフィルム|Wikipedia
Wikipediaの食品用ラップフィルムの使用材料とメーカーと商品名の一覧表。
- ダウケミカル「サランプレミアムラップ」
- 宇部フィルム「NEWポリラップ」
- リケンファブロ「ハイラップ」「スズランヒートラップ」
- シーアイ化成「NEWローズラップ」
- 日本紙パック「無添加ワンラップ」
- オカモト「環境思いエコノミー」
- 大日産業「食品保存ラップ」
- 岩谷マテリアル「アイラップ」
ちょっと話はそれますが、赤ワインと白ワインのテイスティングとレビュー記事も書いています。よかったらこちらも御覧ください。
ディスカッション
コメント一覧
ワインにPEフィルムを浸漬してハロアニソールを収着するとの事ですが、ワインのアルコール濃度は12~15%あります。その極性溶媒下でも官能閾値以下まで低減できるのでしょうか?
官能閾値が1ppt程度の物質に対しての提案として、俄かには信じ難い内容です。